こんにちは、ぐりっぐです。
今回はステンレス(SUS)配管の『TP-A』・『TP-S』について解説していこうと思います。
ステンレスパイプの仕様書や図面を見ていると、TP-AやTP-Sという表記がよく出てきますよね。
新人の方はもちろんですが、お客様からもたまに
「TP-A と TP-S の違いって何なんですか?」
このような質問や問い合わせをいただくことも少なくありません。
同じステンレスのパイプで見た目は同じでも、『TP-A』と『TP-S』は商品の仕様が全く異なるんですね。
今回はステンレスパイプの登竜門である、『TP-A』・『TP-S』をご紹介していきます。
結論:TP-Aは「継ぎ目あり」、TP-Sは「継ぎ目なし」
いきなり結論からいきます。
TP-AとTP-Sの違いはパイプに継ぎ目があるかないかの違いとなります。
たったこれだけの違いだけなんですね。
| 規格 | 継ぎ目 | 製造方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| TP-A | あり | 自動アーク溶接管 | 一般的・コスパ良い |
| TP-S | なし | シームレス管 | 強度が高い・高品質・高価 |

TP-Aとは、アーク溶接で作られる“継ぎ目あり”ステンレス管
TP-Aは溶接して作ったステンレスパイプのこととなります。
簡単な仕組みは以下のようなイメージとなります。
- ステンレス板を丸める
- つなぎ目をアーク溶接する
- パイプ状に仕上げる
つまり、TP-A(溶接管)とはパイプのどこかに「一本の溶接線(継ぎ目)」が必ず入っております。
ぱっと見の外見はほとんど分かりませんが、内径側を見るとうっすらと溶接線がわかったりもします。
- 製造しやすい
- コストが安い
- 設備配管で広く使われる

TP-Sとは、継ぎ目がまったくない“シームレス”構造の高品質ステンレス管
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参考画像元:モノタロウ-SUS304パイプ電縫管(TP-A)
製造方法はもちろん溶接管とは異なり、以下のような作り方となります。
- ステンレスの丸棒をくり抜く
- もしくは熱間押し出しで形成する
といった工程で作られることが多いです。
このような作り方のため、どこにも継ぎ目がないパイプとなります。
- 強度が均一
- 曲げや圧力に強い
- 割れにくい
- 品質にバラつきが少ない
- 価格がTP-Aに比べて高い
このような特徴から純粋に製品としてのクオリティが高いパイプになります。
継ぎ目の『あり』『なし』の違いはダウンジャケットで例えるのが一番簡単!
ここで継ぎ目のありなしを、冬に活躍するダウンジャケットで例えてみましょう!

普通のダウンジャケットは中の羽毛が偏らないように ステッチという縫い目があります。
一方で シームレスのダウンジャケット は、縫い目がなくて見た目がスッキリしており且つ風が入りにくかったり、耐久性が良かったりします。
これと同じで──
- TP-A はステッチ(継ぎ目)があるアーク溶接管
- TP-S はステッチがないシームレス管
と言うことになるため、構造的にワンランクしっかりしているのが TP-Sとなります。
ダウンジャケットの継ぎ目の『あり』『なし』だと当たり前ですが継ぎ目がないダウンジャケットの方が高価となります。
パイプも同じで、継ぎ目がないTP-Sの方がグレードがいいので高価な商品なんですね。
TP-AやTP-Sの頭につく『TP』の意味とは
補足情報になりますが、TPの意味をご存知でしょうか?
TPとは「JIS G 3459」に規定されております配管用ステンレス鋼鋼管(Tube Pipe)のスペルの頭文字をとって『TP』と言うんですね。
よくお客様からのご依頼や頂いた図面に「SUS304 TP Sch40 50A 4M」このような表記で来ることが多いのですが、これだとTPの後の「A」か「S」どちらかがわからないんですよね。
TPやSUSパイプといった問い合わせを受けるのですが、継手屋さんからしたらその後の溶接管かシームレス管が超重要なんですよね。

よくある質問:「TP-S の代わりに TP-A を入れてもいいの?」
次にお客様や新人の方からよくある質問についてご回答いたします。
それがサブタイトルにもある通り、TP-Sの代わりにTP-Aを入れてもいいのかと言う問題ですね。
当たり前ですが『TP-Sの代わりにTP-A を入れるのはダメ。』が答えとなります。
それはなぜかと言うと、先ほども少しご紹介した通り継ぎ目の有無が違うからです。
TP-AとTP-Sでは求められている製品の仕様(グレード)が全く違うからですね。
逆に、TP-A指定のところに TP-Sを入れるのはオーバースペックとなりますので、性能的には問題ありません。

まとめ:この記事で覚えるべきはこれだけ!
では最後に本記事のまとめに入ります。
◆TP-A(アーク溶接管)
- 継ぎ目がある
- コスパが良い(シームレスに比べて安い)
- 一般配管でよく使われる
◆TP-S(シームレス管)
- 継ぎ目ない
- 強度が均一・高品質
- 漏れがあってはいけない場所や油圧配管などで使われることが多い
配管の現場では “AかSか” を間違うとすぐトラブルにつながるので、新人さんほど最初にここをしっかり覚えると重要なポイントとなります。
継ぎ目の『あり』『なし』を理解することができれば、高い理由やお客様からの問い合わせなどにすぐに対応することができます。
頻繁に使用される商品だからこそ、しっかりとTP-AとTP-Sの意味を理解しておきましょう!
ここまでご覧になっていただきありがとうございました。
